【第2話】
夜になりました。
ウミとリクはそっとおうちを抜け出し、
ドキドキしながら砂浜へ走りました。
海には、満月の月明かりで
まあるいステージができていました。
タコやイカや、大小さまざまな魚たちが
跳んだり跳ねたり、くるくる回ったり
思い思いのダンスを楽しんでいました。
ちゅみはダンスに合わせて歌をうたっています。
ウミとリクも、声を合わせました。
ひとしきり楽しんだ後、
赤灯台がピカっと光ると、
クロダイが号令をかけました。
「皆さん、おひらきですよ!」
急に舞台が静まりかえって
何事もなかったかのような海にもどりました。
次の日の朝。
ウミはハッと目覚めました。
「な〜んだ、夢だったんだ」
そう思った瞬間、手の中の貝殻に気づきました。
〜 Another Story 〜
青い目が印象的なネコのちゅみ。
とってもかわいいですよね。
いつも明るいちゅみですが、ほんとうは寂しがり屋。
それにはわけがあるのです。
風の強い夜、寝ぐらにしていたボートのロープが切れて
津田湾に流れ着きました。
気がつくと、隣に寝ていたはずのお母さんがいない!
大声で泣いているのを不憫に思った漁師さんが
そっと家に連れて帰り
おいしいお魚を食べさせてあげました。
それからというもの、ちゅみは津田が大好き。
町のいたるところに出没して、
みんなから可愛がられています。
二本足であるくという特技や、
お母さんの形見の赤いバッグを肌身離さずもっていて
知れば知るほど何だかきゅんとしますね。
『ねこ海レストラン』は、不思議な力をもつネコと、
幼いきょうだいが繰り広げる海の環境ファンタジー。
どうぞ、ごひいきに!
企画・物語/株式会社オレンジフリー 吉田 ともこ
絵/菅野 由貴子