【第1話】
瀬戸内ブルーの海の中に、
小さな島々が点々と浮かんでいました。
波は、ゆっくりと近づいては、離れていきます。
「わぁ!きれい〜〜」
ウミがそう呟いた時、
目の前で不思議なネコがポーズを取りました。
二本足で立ち、手には赤いバッグを持って。
ネコは、長い長い松原の中へと入っていきます。
ぐねぐね曲がる松の枝の間を、奥へ奥へと。
ウミとリクも、追いかけます。
「あれ?どこにいったんだろ?」
ふたりがキョロキョロしてると
とつぜん、後ろから声がしました。
「きみたち、だれ?」
「わ!びっくりした!!」
ふたりは尻もちをつきました。
「わたし、ちゅみ。きみたちの名前は?」
「…ウミです」
「…リ、ク」
ふたりは恐る恐る名乗りました。
「どこから来たの?」
「…東京です」
「トウキョウ…?それどこ?
ま、どこでも歓迎するよ。
ちょうど良かった!
今夜、月が真上に登ったら砂浜においでよ。
魚たちの夜会があるから。
さあ!これが招待状」
ちゅみが赤いバッグから
そっと貝殻を渡してくれました。
〜 Another Story 〜
みなさ〜ん!
海の環境ファンタジー絵本『ねこ海レストラン』が
いよいよ始まりましたよ。
この物語は、香川県さぬき市の小さな海辺の町、
津田を舞台にしています。
東京からやってきた姉弟と、不思議なねこが出会った時、
何が起こる? それは、これからのお楽しみ!
物語に出てきた松原は、「津田の松原」と言って
瀬戸内海国立公園に指定されています。
海沿いに3000本の松が1Km続いていて、
ゆったりお散歩したり 読書したり、
思い思いの楽しみ方ができる素敵な場所。
キラキラひかる海を見つめて波の音を聴いていると
なんとも言えない気持ちに♡
この物語は、
実在する場所や人も登場します。
フィクションとノンフィクションが
交差するストーリーなのです。
毎月のお楽しみにしていただけるよう
頑張りますね〜。
企画・物語/株式会社オレンジフリー 吉田 ともこ
絵/菅野 由貴子